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飯塚病院 内科専攻医(1年目 PGY3) 連携医療・緩和ケア科所属 の小栗と申します。

当科では研修いただいた先生に、研修の学びのアウトプットとして自由な内容で最終発表していただいています。

今回はその中で研修された専攻医の先生の感想を、私が代わって投稿させていただきます!

小栗

早速見ていきましょう!


発表者

所属:飯塚病院 内科専攻医 総合診療科所属 

卒後年数:3年

研修期間:1か月半

最終発表の内容

私はまだまだ経験が浅く短い医師人生ながらも、これまでの中で、状態の厳しい重症患者様の対応において、どこまで治療を継続するべきかという判断に悩む場面をしばしば経験してきました。

そんな中で、当科研修中に”Time-limited trial“という概念を学ばせていただきました。

Time-limited trial とは

これまでは「全力で治療をする」もしくは「症状緩和の方針とする」という選択肢のどちらかを患者様やご家族と話し合って選ぶということを考えがちでした。

そして、「全力で治療をする」ことを選んだ場合に「いつまで治療を続けることが妥当なのか」という医学的な妥当性や家族の思いなどの間で葛藤を感じることがありました。

そんな中で今回の研修の中で”Time-limited trial“という意思決定プロセスを用いることで、治療方針に関する意思決定支援が円滑に行えた経験をさせていただきました。

Time-limited trial“の簡単な概要については以下に示します。

実際、私は”Time-limited trial”の概念は研修前から漠然と知っていたものの、「期限を決めて治療をする」程度の認識しかありませんでした。

しかし、今回の研修中の上級医からの指導で、「治療方針に関する意志決定支援のプロセス」ということを深く再認識しました。

今回の学びは、より詳細にまとめて最終発表として、診療科全体に学びを共有させていただきました。

他の先生方に自分の学びを発表としてアウトプットすることで、自分の中でさらに整理されました。

小栗

アウトプットの機会は積極的に活用したいですね!

研修全体を通して

研修の中では他にも、これまで自分が体系的に学んでこなかった、「患者様とのコミュニケーション」や「オピオイドの使用法」なども学ばせていただき、自分にとってとても貴重な経験となりました。

今回の連携医療・緩和ケア科での研修は、どこの診療科に将来進んだとしても役に立つ内容ばかりで実りが多かったと本当に感じています。

連携医療・緩和ケア科に興味を持たれている方は短期間でも研修をおすすめします!

最後までご覧いただきありがとうございました。

<指導医から補足>

石上先生

ローテートしてくれた先生、お疲れ様でした!
私から一点、補足させて下さい。

Time-limited trialは無益なICU治療を減らすという論文もあります。

JAMA Intern Med. 2021;181(6):786-794.

よくある、有効でないTLTの光景としては”まだ治療できそうなので、予後が不確実なのでもう少し治療してから話そうと思います。”という、とりあえず治療をやってみるだけになっていることです。

予後を出来るだけ確実にしたい、確実になってから話したいという医療者の思いは当然なのですが、どこまでも不確実性があるものです。

TLTの適応は予後が不確実な時と、患者家族の価値観ケアのゴールがわからない時です。

どのような状況だったら治療がうまくいってないと判断するか

どのような状況だったら患者のケアのゴールを達成できてないと判断するか

これはあらかじめ医療者が患者家族と、話し合った上で治療を開始しないとすれ違いがおきます。

上の論文でも家族面談の回数が増えて内容が改善したことが報告されています。

Time limited trial 中に、本人がどんな人だったか?どんな状況にはなりたくないと思っているかなどを話し合い、価値観を明確にすることが重要だというメッセージを追加しておきます。

この意思決定プロセスを経ることで”本当は助かったかもしれない人”への”早すぎる諦め”が少しは経ると思います。価値観を明確にしないまま、患者家族と適切に話し合わずに、治療をとりあえずはじめたら、結局どこまで治療をすればいいのかを悩むことになります。

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