今回は、我々からCS病院のSCMのスタッフに向けて行ったプレゼンテーションについての報告です。

この視察で最も重要な時間で、慣れない英語でのプレゼンということもあり、夜はあまり眠れず直前まで緊張していました。SCMのスタッフがほぼ全員集合し、さらに緊張感が高まりました。

プレゼンの最大の目的は、今後の提携のために、我々がCS病院から「学ばせてもらいます」というだけでなく、CS病院のスタッフたちに対して我々からも「学びを提供できる」ということを感じてもらうことです。そのためには、どのような内容を伝えたら良いか、念入りに準備をしてきました。

まず柏木先生から、飯塚病院の紹介、日本の緩和ケアの紹介、今後の提携の目的といった内容を話していただきました。2019年にCS病院を視察した時に非常に刺激を受け、そこから連携医療・緩和ケア科がさらに発展したことを伝えたところ、非常に喜ばれました。

次に中山から、連携医療緩和ケア科のメンバーの紹介と、主な取り組みについて紹介しました。時間が限られており全ては語れませんでしたが、当科のメンバーがいろんな背景を持っていること、地域密着型の緩和ケアを提供するために、当科の医師がExtensivistとしての役割を担っていること、医療ネットワークを築きアウトリーチを行っていることを紹介しました。また、神経ブロックについても、提供体制や教育体制を築こうとしていることを紹介しました。

その後に石上先生から、日本での人生の最終段階に対する考え方の文化について話していただきました。日本では、患者が意思決定について家族や医療者に『おまかせ』の姿勢になりがちであること、ACPのような先々のことを話すと『言霊』のように本当に起こると考えては避けがちであること、患者と家族の双方が納得できるHarmonyを基本としたACPが求められること、などを紹介しました。

そして最後に、柏木先生から再び挨拶をいただき、我々のプレゼンが終了しました。

プレゼン後は、CS病院のメンバーから多くのコメントと質問をいただきました。海外ではAutonomyを基本としたACPが行われることが多いが、Harmonyを基本としたACPについて海外でも忘れてはいけない視点であるといったコメント、医療不信になる患者や家族が日本にもいるのかといった質問、医療保険の違いによる受けられる治療の違いについてのコメントなど、多岐にわたる内容を議論しました。

多くのメンバーが日本に来たいと言ってくれ、プレゼンとディスカッションを通して我々の組織や取り組みに興味を持ってもらうことができたと思いました。