みなさまご無沙汰しております、連携医療・緩和ケア科スタッフで家庭医のTGです。

連携医療・緩和ケア科には全国から多くの総合診療医・家庭医が研修のため集まってきています。

現在、当科には家庭医療専門医が2名、総合診療専攻医が4名所属しています。

BIG BOSS

緩和ケアを学びに来た総合診療専攻医に、ポートフォリオ作成を指導してあげたら喜んでもらえるんじゃない?

という「BIG BOSS」こと柏木部長のアイデアにより、緩和ケアでのフィールドをメインとしたポートフォリオ相談会が始まりました!今回は新たな試みである「緩和ケアポートフォリオ相談会」のお話です。

開催までの経緯

2021年8月から山口大学総合診療プログラム所属の日本プライマリ・ケア連合学会の家庭医療専門医かつ指導医である松本 翔子先生が8カ月、当科に移行期ケア・緩和ケアを学びに来てくれています。

写真右側
出典: http://www.primarycare.med.yamaguchi-u.ac.jp/news/444/

優秀指導医賞の受賞歴もあり、総合診療専攻医への指導歴も豊富な情熱溢れる先生です❗

こちらの記事の筆者であるTGも(一応)家庭医療専門医です。

というわけで、当科には2名の家庭医療専門医と、緩和医療専門医で日本プライマリ・ケア連合学会の指導医資格も持っているBIG BOSSが所属しています。

そして熱意あふれる総合診療専攻医たちが常に数名ローテーションしています。

自称五条先生

ローテートしてくれる総合診療専攻医にポートフォリオ作成の相談にのってあげたら、専攻医本人はもちろん、送り出したプログラムの責任者にも喜んでもらえるのでないか?

というで、11月から週1回1時間「総合診療専攻医のための緩和ケアポートフォリオ勉強会!」を開催する運びとなりました。

ポートフォリオとは?

stack of books beside a shopping cart with cash money
Photo by Karolina Grabowska on Pexels.com

そもそもポートフォリオ(以下:PF)とは何かがピンとこない方も多いはず。

ポートフォリオ(経験省察研修録)とは、総合診療専門研修者に必要な、経験と省察のプロセスをファイリングした研修記録のことです。

これは総合診療専門医の取得に際し、提出が必要となります。

名古屋大学医学部附属病院 総合診療科のウェブサイトに、安藤 友一先生が記載された説明がわかりやすいので、転載させていただきます。

本来PFとは、建築家やデザイナーが自分の作品を紹介するために用いた「作品集」のことをさします。

転じて、各自の成長を残した記録集をさす言葉としても用いられるようになり、家庭医療プログラム研修におけるPFは「学習者の成果や省察の記録、メンター(優れた助言者・指導者)の指導と評価の記録などをファイルなどに蓄積・整理してくもの」とされました。

PFには学習者自身の考えや感情の変化、学習項目に焦点を当てて記述するという特徴があり、患者に関する医学的な記述をする症例報告とは全く性質が異なります。

また、PFには特定のテーマについての学習者の成長が詳細に記述されることから、他者からみても学習者の成長が分かりやすく、評価手段としても用いられます。

リンク:https://www.med.nagoya-u.ac.jp/general/accel/

日本プライマリ・ケア連合学会のホームページにポートフォリオの領域と学習目標(=評価基準)が掲載されています。

20項目もあります💦

この20項目目には緩和ケア・人生の最終段階におけるケアが掲げられています。

https://43e22853-aff1-4b8b-a794-d204fec68511.filesusr.com/ugd/30fddf_27f0b7b0894143559a89d9328155c1f9.pdf

新・家庭医療専門医を目指す専攻医と指導医は、こちらの本は必携です。

ポートフォリオを作成する上で重要なのは、学習者の成長の過程がわかること、そこに指導医との対話があることだとも言われています。

つまり、緩和ケア領域におけるポートフォリオを作成するにあたり、学習者が成長を実感し、指導医とともに省察を行うことが必要不可欠となります。

これまでにも当科には多くの家庭医療研修者・総合診療専攻医が学びに来ていましたが、体系だったポートフォリオ教育のための時間は確保できていませんでした。

今回、家庭医療専門医2名が加わったことで「総合診療専攻医のための緩和ケアポートフォリオ勉強会プロジェクト」を始動させることができました!

緩和ケア科で行うポートフォリオ指導って?

11月2日に記念すべき第1回が開催されました。

リラックスした雰囲気の中、専攻医が経験したケースを共有します。振り返るプロセスで多くの気づきを得ることが多いです

専攻医のS先生が経験したケースで、できたこと、できなかったこと、モヤモヤを感じたことなどをその場で共有します。事前準備はほとんどせず、その場で共有してもらいました。

持続可能性を重視して、準備に時間をかけて発表者のハードルを上げるのではなく、何を話してもらってもいい雰囲気が重要と考えています。こうしたプロセスも、医学的に正確な記載を重視する一般的な症例報告とは異なるスタイルかもしれません。

第1回目のケースは自宅に帰ることに不安を抱いていた患者さんに対して、主治医として関わる中でのモヤモヤを中心に発表してもらいました。最終的に自宅退院に結びつけることができた要因について気づきを得られたようでした。専攻医の先生が気づきを得る瞬間に立ち会えるのは、指導医としても本当に幸せなことです。

緩和ケアを学びたい総合診療医にとって理想的なプログラムに!

11月9日に第2回が開催されました。こちらの様子も後日、あらためて共有いたします。

家庭医・総合診療医にとって、緩和ケアは特に学びたい領域のひとつです。実際、日本プライマリ・ケア連合学会が家庭医療専門医に実施したあるアンケートでは、専門医取得後に緩和ケア研修を希望したいというニーズがかなり高いようです。

専攻医にとっては、目の上のたんこぶ 目の前の課題に研修先で途切れず指導をもらえる場に、専門医(指導医)にとっても緩和ケアを学びつつポートフォリオ指導に関われる機会をもらえるというwin-winな企画です。

ますます魅力的な研修先になるように日々、進化を続ける飯塚病院・連ケア科、要チェックですよ!

見学のお申し込み方法について

  • 見学は1日から3日(それ以上の長い期間は要相談)で承ります。
  • 総合診療科頴田病院(かいたびょういん;総合診療医が中心となっている96床のコミュニティホスピタル)などの見学もあわせて希望される場合、可能な限り調整させていただきます。
  • お申し込みを頂いたあと、具体的な見学内容の希望についてのアンケートフォームを送信させていただきます。
  • みなさまの見学を心からお待ち申し上げます。

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