読者の皆さんには「忘れられない患者さん」がいるでしょうか?

1人であるとは限らず、数人、数十人といる読者もいるかもしれません。

家庭医TGには「緩和ケアをちゃんと学びたい!」と思ったきっかけとなった経験があり、そこには「忘れられない患者さん」「すぐに顔を思い出せる患者さん」が無数にいます。本当に、日常のふとした瞬間にその患者さんとのエピソードを思い出します。病棟で担当した患者さんもいますが、ほとんどは在宅医療で関わった方々です。

今回は家庭医TGが在宅医療と緩和ケアの親和性について語ってみます。

在宅医療にやりがいを見いだすまで

家庭医TGは後期研修(医師3年目〜5年目)を北海道の総合診療プログラムで修めました。在宅医療との関わりは医師3年目、100床程度の中小規模病院での研修中でした。当時はまだまだ病棟での対応に悪戦苦闘していた時期です(今も続いていますが…)。

在宅医療が提供される患者さんのほとんどが慢性疾患を複数患ったご高齢の方です。定期訪問で訪れるのは、当然ですが状態が安定した方ばかり(状態が悪化していれば「往診」で迅速に対応されます)。今よりずっと浅はかだった当時のTGは、「安定している患者さんばかりで特に介入することもなさそうだな…」と「いますぐに治療が必要がない患者さん」を月2回も訪問することの意義を見いだせていませんでした(今ならば、できること、すべきことが山ほどあることがわかります。本当に浅はかでした…)。

転機となったのは診療所での経験でした。ここでは毎日、訪問診療があり、平日夜間や週末は待機当番として往診に対応しました。ここから一気に「見える景色」が変わったのです!

それまで病院で「治す」医療を学び、追求してきましたが、在宅医療では高齢で治らない疾患を抱えた患者さんを「支える」医療が中心となります。在宅患者さんを継続的に診る中で、その面白さに気づくことができました。その面白さとは具体的には……、ブログ記事で詳細を伝えていきます。

ちなみに、家庭医TGは「資格が大好き」です。医師6年目に家庭医療専門医を取得後、医師7年目は1年間、急性期病院での在宅医療に従事し今年7月に在宅医療専門医を取得しました(在宅医療専門医については別途、ブログ記事で紹介いたします)。今度は緩和ケア専門医を取ろうとしているとかなんとか…。肩書きばかりに頼るのではなく、たしかな臨床能力を培って医師人生を送りたいものです。

「足裏の米粒」とも揶揄される資格ですが…

忘れられない症例

「緩和ケアの知識・経験を身につけなければ…」と切実に感じた経験は沖縄で在宅医療に従事していた時でした。沖縄では地域によりますが、緩和ケア科へのアクセスはよいとはいえず、相談できる緩和ケア医も身近にいませんでした(付け加えると、在宅医療を提供する医療機関も少ないです)。

必然的に、書籍で勉強したり、経験ある先輩医師と相談したりしながら1例1例、症状緩和を行いました。詳細は控えますが、事後的に「もっとよい方法があったかもしれない」と感じるケースばかりでした。

最も忘れられないのは、「症状緩和がうまくいかずに自宅での生活が続けられずに入院した」ケースです。もちろん、どれだけ手を尽くしても自宅での症状緩和には限界があり、入院して初めて症状緩和ができるケースは実際、存在します。それでも、「もっとやりようはあったかもしれない」という思いが、「緩和ケアを学ばねば」という決意になり、行動となりました。現在進行形です。

沖縄の海

在宅医には緩和ケアの知識が不可欠

首都圏を中心に在宅医療を展開する悠翔会の理事長である佐々木淳先生(日本の在宅医療を牽引するトップランナー)が、公開された記事のなかで「在宅医療において難易度が高い領域は認知症の薬物治療と緩和医療」と言っています。

在宅医療で多彩なジャンルを勉強しなければならない上に、緩和ケアの知識を体系的に勉強するのは、よほどのスーパーマンでなければ難しいでしょう。

TGは週1回の在宅医療を続けさせてもらっています。一時、病棟から離れて患者さんのお宅を訪れる時間は単身赴任中のTGにとっては「ホームに帰ってきた」気分になれて至福の時間です(もちろんちゃんと働いています)。

「在宅医療をする上で、やっぱり緩和ケアをちゃんと学びたい」と心のどこかで感じている読者にとっても、連ケア科での学びは間違いなく有用なはずです。

飯塚病院「連携医療・緩和ケア科」では、同じ志をもって、ともに学び、成長しあえる仲間を増やしていきたいと考えています。興味が少しでもある方はお気軽に御連絡ください!(家庭医・TG)

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