〜ACPレクチャー〜

連携医療・緩和ケア科1年目医師のYuukiです。

先日、他院に向けてACPレクチャーをする機会を頂き、ZOOMで1時間程レクチャーを行いました。

このような機会は初めてでかなり緊張しましたが、周りの先生方にサポートして頂き、無事に終えることができました。

今回はその内容をポイントに絞って紹介したいと思います。

そもそもACPって何なの?

最近、ACPという言葉をよく耳にします。

一時期は、某お笑い芸人の「人生会議」のポスターを巡ってニュースにもなりましたね。

しかしACPとは一体何なのか、自分も曖昧だったのでこれを機に勉強してみました。

厚生労働省HPには以下のように記載されております。

「人生の最終段階の医療・ケアについて、本人が家族等や医療・ケアチームと事前に繰り返し話し合うプロセス」

https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_02783.html

……何となく分かったような、分からないような感じですね。

ざっくり言うと「本人の価値観を事前に話し合っておくこと」と理解して頂ければ結構です。

どうして必要なの?

それではどうしてACPという言葉が出てくるようになったのでしょうか。

歴史的背景から説明しますと、パターナリズムだった医療が患者中心の医療へ変わっていく中で、終末期の医療も自己決定に基づいた医療が必要だという声が強くなり、状態が急変した際に希望する医療の中身について、要望を書いておくAD(事前指示書)が出来ました。

しかし、後に様々な研究でADでは患者や家族の満足度が変わらないことが分かりました。

これを受けて、ADのような単なる書類作りに終わるのではなく、患者の意向や大切なことをあらかじめ話し合うプロセスが重要で、これによって複雑な状況にも対応できるようになる、という流れができました。

要するに、急変した際に希望する医療の内容を事前に書いておいても、状況が複雑になった時に指示書の内容だけでは上手く対応できず、もっと根本的なところ(患者の価値観)から話し合っておく必要がある、となったわけです。

実際どうすればいいの?

概要として大きく6つあります。

  1. 病状の認識を確かめる
  2. 話し合いを導入する
  3. 本人の意思を推定する者を選定する
  4. 療養や生活での不安を尋ねる
  5. 療養や生活で大切にしたいことを尋ねる
  6. 治療の選好を尋ね、最善の選択を支援する

この中で特に最初の二つが重要です。

病状の認識を確かめる

自分が前医から引き継いだ内容を患者さんが同じように理解しているとは限りません。患者さんが現在どこまで理解されているのか、それに対してどう考えているのか、まずはここから確認しましょう。

「病状について、どのように説明を受けていらっしゃいますか? 」

このように尋ねて、患者さんと医療者の足並みを揃えましょう。

話し合いを導入する

いざ急に「もしもの時」の話をされると相手も面食らってしまいます。以下のように「最善を期待しつつ、最悪に備えるコミュニケーション」を取りましょう。

「○○さんにはもっと良くなって欲しいと願っていますが、その一方で悪くなることも考えておかないといけません。その時に備えて、もしもの時の話し合いを進めてもいいですか?」

また、もしもの時(身の回りのことができなくなった時)のことをどう考えているか、を聞くよりも、考えたことがあるか、経験を聞くようにすると患者さんの負担が少ないと言われています。

「万が一の時のことを考えてお聞きするのですが、病状のために身の回りのことをすることができない状態になった時のことをお考えになったことがありますか? 」

まとめ

いかがでしたでしょうか。ここでは講義の一部分を載せていますが、何となくACPの概要をお分かり頂けたら幸いです。

講義の最後には、症例を用いてグループディスカッションを行い、問題点の抽出やACPの進め方を話し合い、活発な議論をすることができました。

この記事をご覧になっている方で、もっと学びたい、ACPを進めてみたいという方がいらっしゃいましたら、ぜひ当科で一緒に学びませんか!

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