<2.NeuroPalliative care>
スタッフの石上です。
今回、個人的に楽しみにしていたのはNeuropalliative Careの見学です。
ICU・救急の緩和ケアを勉強していると、脳卒中や蘇生後などのSevere Acute Brain Injury(SABI)のことをしっかり勉強する必要を感じました。神経難病の患者さんもどのようにサポートするのかということに興味がありました。
Ceders-Sinaiはこの領域に力を入れているみたいです。
https://www.cedars-sinai.org/newsroom/supportive-care-for-neurology-patients/

AANからもNeuropalliative Careのポジションステートメントが出ております。
https://n.neurology.org/content/98/10/409

比較的新しい概念かと思いますが、緩和ケアの患者家族のQOLを上げるという理念からもすごく大事な取り組みだと思います。Neurocritical CareがICU領域でも必要なようにNeuropalliative Careの領域も、長期的な予後・QOL・ケアギバーのサポートなど必要という認識です。

今回のJessica先生は上のAANの記事を書いたり、Top ten tipsのNeuropalliative Care関連の記事(低酸素脳症・脳梗塞・多発性硬化症・ALSなど)も書かれており、勝手にファンになっていたので会うのを楽しみにしておりました。

低酸素脳症
https://www.liebertpub.com/doi/10.1089/jpm.2022.0202
脳梗塞
https://www.liebertpub.com/doi/10.1089/jpm.2021.0449

彼女は神経内科医でありながら、緩和ケア医を行い、外来ベースのNeuropalliative Careにチャレンジしているようでした。ALSの患者が最も多く、その次が膠芽腫、Movement disorder(パーキンソン関連)、Memory(認知症)、その他(低酸素脳症など)で前者4つがメインのパートだと言っておられました。

毎回、外来は新規もフォローアップも1時間取っているらしく、ACPのドキュメンテーション率100%をQIの内容として入れておられました。

神経内科医向けにレクチャーをしたり、コミュニケーションのトレーニングをしたり、教育も熱心な印象でした。

低酸素脳症のPatient journeyについて質問しました。
Time limitetd trialが3-6ヶ月であるがその間患者はどうしているのか?
またTime limitetd trialが終わった後のSerious illness conversationをどうしているか?
米国でも急性期病院→LTAC→亜急性期→SNFなど患者は移動していき、急変すると転院したりはあるようです。
また、転院先でそのようなチャンピオン(リーダー的存在の人)がいるのが理想であるが、いないことも多い。
プライマリケア医師に直接連絡を取るか、Telehealth(遠隔)で話し合いをするなどをすることもあるということでした。
コストは非常に高くなるようです。話しぶりからはそこまで多くの方ではなさそうな印象でした。

PAS(Physician-Assisted Suicide)について質問をしました。
1994年にオレゴン州で合法になってから米国では地域によって合法となっているところがあります。致死薬を患者にわたし、患者が飲んで医師が自殺するのを助けるというものです。倫理的にはコントロバーシャルな分野です。
PASは、6州(カリフォルニア、コロラド、オレゴン、モンタナ、バーモント、ワシントン)およびコロンビア地区で合法となっています。カリフォルニアは2015年に合法になったみたいです。
https://songenshi-kyokai.or.jp/archives/1192 

PASについては4人に1人は質問をされるとのことでした。
ただ実際にそれに至るケースは少ないということでした。
聞かれたら提示はできるが、気持ちの変化であったり、自分で薬を飲むことができないADLになったり色々な理由があるみたいでCommonではないみたいで少しホッとしました。

記念に写真を撮ってもらいました。彼女にサインもいただき、やる気が俄然出ました。
この領域も仲間が増えたら嬉しいなと思います。

(本人からもブログ許可を得ています)

※英語でのリスニングでニュアンスが間違っているところがあるかもしれない点はご了承ください。