後期研修医の鈴木です。
当科スタッフの濱崎先生が、これまでの当科での勤務を振り返って最終発表をしてくださいました。今回は、当科が採用しているコミュニケーションツール「3Stage Protocol」をベースに、面談を構造化して学びやすく・指導しやすい医療面談を実現する方法について共有してくださいました。
※今回の内容は、3Stage Protocolの基本概念を前提とした部分が多く含まれているため、必要に応じて3Stage Protocolについてまとめた過去記事もご参照ください。
面談が上手くいかない原因は「準備不足」が9割
面談の成否を大きく分ける要素が、事前準備です。他科の主治医や関係する臓器別専門医と情報や認識の事前すり合わせを行い、医学的情報(疾患の自然経過、予後予測など)や機能予後(食事・排泄・リハビリなど)を必ず確認するようにしてください。これらの内容から、医療者として推奨される治療方針を面談前に想定し、ある程度面談の流れを想定しておくことが重要です。
面談を始めるとき、濱崎先生は「最近ご本人と会いましたか?その時はどう感じましたか?」という定番フレーズを投げかけるようにされています。これは背景情報の共有と感情の探りを目的とした質問で、面談相手の状況をある程度把握してから、いわば「後出しジャンケン」のように本題を切り出すことで、スムーズに面談を進めていくことができます。この質問をするとき、「病状をどこまで分かっていますか?」のような聞き方はテストのように受け取られて不快感を与えやすいため、「○○先生から説明があったと伺いましたが、どのように感じましたか?」のように、相手の感情を尋ねる手法が効果的です。
NURSEは万能ではない。話を“進める”意識を!
相手の感情表出を促すコミュニケーションスキルに、「NURSE」があります。適切に使用することで相手の感情の整理が進むため、とくにBad Newsを話さなければいけない面談では非常に強力ですが、その場で答えが出ない状況で感情表出の促しのみに終始してしまうと、面談が進展せず時間ばかりが過ぎてしまいます。大事なことは展開する力=ファシリテーションを意識することで、“チャプター”を進めるために専門職(SW、リハ、訪問医など)に話題を振る勇気も必要です。
例:「あ、この話題は訪問診療の先生の方が詳しいです。〇〇先生、お願いします」
“人となり”を深掘り、“価値観”を汲み取った提案を
3Stage Protocolの質問テンプレートには、その人の人となりを探る(Stage 2)質問として「楽しみ・気がかり・意味・生きている理由」の項目があります。これらの情報を集めることで患者さんの価値観を理解する手がかりにしますが、すべての項目を埋める必要はありません。雰囲気に合わない質問は避ける必要があります。やりやすい手法としては、「場所と時間の展開」で人生をなぞる方法があります。時間(診断〜治療〜現在まで など)や場所(治療場所や療養場所の推移 など)で場面を区切り、それぞれの場面での心情や価値観を確認することで、スムーズにその人となりを伺うことができます。
例:「診断されたとき、どんなお気持ちでしたか?」「その時、支えになったものは?」
こうやって見出した価値観から、治療強度と退院先について医療者のおすすめを提案していきます。この治療提案では、それを提案する理由をStage 2で出てきたキーワードに結びつけ、関連性を示しながら説明を加えていきます(例:「食べることが好きだった→経口摂取できることを優先しましょう)。このとき、提案を患者さんやご家族に受け入れてもらうためには、できることベースの説明が重要です。「〇〇はできませんが、△△は可能です」「ご家族の存在が安心感につながります」のように、できることや患者さんへのメリットが上手く伝わるような話し方を意識しましょう。
クロージングのタイミングでは、「今日の話をまとめさせていただきますね」と締めを予告し、今後予測される変化の時間軸に沿って、「1週間後に再度お話しましょう」など、患者さんやご家族に考えてもらいたいことの期限を明示します。「お力添えをお願いします」など、家族へのエンパワーメントになるような一言を付け加えることも、良い面談の雰囲気を作ってくれるかもしれません。
振り返りのまとめ
面談は「続ければ必ず上手くなる」スキルです。ご自身の面談に悩まれている方は、今回の内容も参考にしていただき、ぜひ「面談の構造化」を意識してみてください。
濱崎先生の新天地でのご活躍を、スタッフ一同お祈り申し上げます。お疲れ様でした!
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