後期研修医の鈴木です。
今回は、当科を4週間ローテされた当院初期研修医の片桐先生が、当科での研修を振り返って最終発表をしてくださいました。今回は、「患者さんのケア」だけでなく、「患者さんを支える家族」の心にも寄り添うという視点から、学びを共有してくださいました。
患者に付き添う家族の心理的負担
片桐先生がこのテーマを選んだ理由は、実際に片桐先生が担当された2名の患者さんのご家族が、病室で泊まり込みながら寄り添う姿に心を動かされたからでした。患者の苦しみに向き合うご家族もまた、さまざまな心の痛みを抱えている——その事実に気づいたことが、この発表の出発点でした。
がん患者さんの家族が抱える心理的負担には、一例として以下のようなものが知られています。
- 予期悲嘆(anticipatory grief):死の前から始まる、患者さんを喪失することへの苦しみ。患者さんの死に対する心の準備が進む一方で、家族が現実に対応する力を奪ってしまうこともある。
- 不安・恐怖・ストレス:患者さんの病状の変化や苦しむ姿、慣れない病院環境による疲れなどが影響する。
- 罪悪感や後悔:がんにもっと早く気づけたのでは、もっと何かができたのではといった、過去の選択や行動に対する後悔が生まれる。
- 意思決定の負担:心肺蘇生行為の差し控えや治療中止の判断に伴う、「これで良かったのか」という葛藤を抱く。
- 感情の抑圧:周囲に迷惑をかけないように、と自分の感情を抑えこむことで、つらさを周囲に打ち明けられず心理的孤立が生じる。
家族の心理に寄り添う支援
元々看護師として働かれていた片桐先生は、このような家族の心理状態に応じた支援の方法について、看護の視点から次のようなケアの例を挙げられました。
- 予期悲嘆:感情を受け止め、共感的に傾聴することで、家族が安心できる場をつくる。
- 不安・恐怖・ストレス:状況の変化があった際に、逐次誠実な説明と情報提供を行うとともに、家族自身の休息やプライバシーへの配慮を行う。
- 罪悪感や後悔:家族に患者さんのケアへの主体的な参加を促し、家族の繋がりを実感できるような関わりの時間を提供する。
- 意思決定の負担:患者さんや家族の価値観を医療者が尊重し、公平な情報提供と対話を通じて意思決定の支援を行う。
- 感情の抑圧:家族が自身の内面について話しやすい関係性を築き、またそのような話ができる静かな時間・空間を確保する。
また、家族が「24時間付き添いをすることが義務」と誤解し、疲弊してしまった経験があったことから、「付き添ってもよい」ことと「付き添わなければならない」ことを区別して伝える重要性を強調されていました。
まとめ
「治療的自己(therapeutic self)」という概念があります。医療者の声かけや表情などから伝わる支持的な姿勢、医療者の存在そのものが患者さんや家族を癒す治療の一部になるという考え方です。最期の時間を迎えようとしている患者さんと家族が、緊張の中でひと時でもホッとできるような関わりをできたらと思います。
片桐先生、4週間の研修お疲れ様でした!
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