みなさんこんにちは。循環器専門医と緩和医療専門医のダブルボードを目指しているCOOです。

きょうは基本的心不全緩和ケアについて学ぶ3つの方法についてご紹介します。

1.HEPT:心不全緩和ケアトレーニングコース

http://hept.main.jp/

HEPT(ヘプト)は心不全診療に従事する医師を対象にした、基本的心不全緩和ケアを学ぶための1日コースです。

■HEPTが開発された背景

世界保健機関(WHO)は、全てのヘルスケアシステムに緩和ケアを統合することを目指しており、基本的緩和ケアの提供が心不全領域においても求められています。


しかし、本邦の既存の緩和ケアトレーニングコース(PEACE緩和ケア研修会, ELNEC-J等)には、心不全の疾患特性を踏まえた内容が十分に組み込まれているとは言えない現状があります。


心不全緩和ケアの普及にあたって、心不全の実臨床に即したトレーニングコースの構築が求められており,HEPTは開発されました。

そして2019年10月、HEPTは日本心不全学会公認の緩和ケア推進委員会オフィシャルコースとして採択されました。

■HEPTの目的

心不全における「基本的」緩和ケアを実践できるスキルを身につけることです。

■HEPTが想定している受講者

HEPTは循環器内科専攻医を基本対象として作成されました。その為、参加者は基本的な心不全診療の知識を有していると想定しています。

しかし、心不全診療に携わる総合診療・一般内科、緩和ケア、心臓血管外科領域などの従事者の参加を妨げるものではありません。

日本緩和医療学会のPEACEプロジェクト(緩和ケア研修会)を修了していることが望ましいとしています(重複する項目を一部除外しているため) PEACEについては下記をご参照ください。

なお、日本心不全学会学会員である必要はありません。

■HEPTを受講する方法

現在はオンラインで毎月開催されています。

適宜、HEPTのウェブサイトで参加者の募集を行っていますので、こちらのサイトをご確認の上、お申し込みください。申し込み、参加は無料です。

2.e-PEACE:緩和ケア研修会 e-learning

e-PEACEは職種を問わず、基本的緩和ケアを身につけるための研修会におけるe-learningコンテンツです。無料で受講することができます。

■PEACEとは?

厚生労働省は、がん対策基本法に基づくがん対策推進基本計画(平成19年6月15日閣議決定)において、「すべてのがん診療に携わる医師が研修等により、緩和ケアについての基本的な知識を習得する」ことを目標としています。

これを受けて、がん診療に携わるすべての医師が、緩和ケアについての基本的な知識を習得し、がん治療の初期段階から緩和ケアが提供されることを目的に、これら医師に対する緩和ケアの基本的な知識等を習得するための研修会を行うように、各都道府県に厚生労働省健康局長通知「がん診療に携わる医師に対する緩和ケア研修会の開催指針(以下、開催指針と略)」(平成20年4月1日付け健発第0401016号)が出されました。

 日本緩和医療学会は、「開催指針」と厚生労働省委託事業「平成20年度がん医療に携わる医師に対する緩和ケア研修等事業」(平成20年5月9日付け健発0509004号)を受け、「緩和ケアおよび精神腫瘍学の基本教育に関する指導者研修会」と「がん診療に携わる医師に対する緩和ケア研修会」を組み込んだ教育プログラムを作成し、これらを「日本緩和医療学会PEACEプロジェクト」として実施することとなりました。

平成30年度以降の緩和ケア研修会は、「e-learning」と「集合研修」で構成され、双方の修了をもって、緩和ケア研修会修了となっています。

■e-PEACEの中に隠された心不全緩和ケアコンテンツ

ここまできいて、「あれ?PEACEに心不全のコンテンツあったっけ?」と思われた方もいらっしゃると思います。

実は最近、ePEACEの中に心不全緩和ケアのコンテンツが追加されました!

https://peace.study.jp/rpv/

こちらのウェブサイトにアクセスし、新規登録を行います。IDをすでにお持ちの方は受講者ログインからログインをします。

すると以下のような受講コンテンツ一覧が表示されます。

COOはちゃんと全部受講しています

下の方にスクロールすると、S10【選択】がん以外の疾患に対する緩和ケアがあります。

その中に、心不全の緩和ケアのコンテンツがあります!!

(わかりづらい)

20分程度で受講することができます。ちょっとした空き時間に心不全緩和ケアのことが勉強できるのはよいですね!

3.緩和ケアチームの手引き:心不全追補版

https://www.jspm.ne.jp/active/pdf/heart_failure_v1.pdf

こちらは緩和ケアチームを対象とした手引になります。日本緩和医療学会のウェブサイトで無料公開されています。

この手引では緩和ケアチームの立ち上げ方、コンサルテーション活動、各職種の役割について説明しています。始動したばかりの緩和ケアチームにとっては有用な情報がたくさん記載されています!

心不全患者への緩和ケアの提供がより一層求められており、緩和ケアチームへの心不全症例でのコンサルテーションが増えていくことが予想されます。

こちらの手引きでは緩和ケアチームに求められる対応や期待される役割について説明しています。

終わりに

今回、3つの心不全緩和ケアにまつわる無料コンテンツをご紹介しました。

心不全の緩和ケアは始まったばかりです。これから心不全患者数は増え続けると予想されています。

心不全診療を担う皆様の一助になれば幸いです。

緩和ケアのサブスペシャリティをもった循環器内科医を目指しませんか?

連携医療・緩和ケア科では循環器内科医だけど緩和ケアについて学びたい!という医師の研修を受け入れています。

心不全緩和ケアの実践にあたり、心不全×緩和ケアの両方に詳しい人が必要とされていると実感します。

つまり、「利尿薬や血管拡張薬、循環器治療について経験や知識がある」かつ「麻薬の使用やエンドオブライフディスカッション、訪問診療などに詳しい」人です。

私達も最初、心不全緩和ケアチームを立ち上げたころは循環器と緩和ケアの文化や概念があまりに違うことで戸惑うことが多くありました(今でもありますが、少しずつ減ってきました)

飯塚病院 連携医療・緩和ケア科では、緩和医療認定医あるいは緩和医療専門医取得までのサポート、急性期病院における心不全緩和ケアコンサルタント、心不全在宅医療を経験することが可能です。

もしご興味がある方がいたら、こちらのフォームからお問い合わせください。

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