後期研修医の鈴木です。
藤田医科大学から当科へ3か月間のローテに来られていた西尾先生が、これまでの当科での研修を振り返って最終発表をしてくださいました。今回は、悪性黒色腫の診断と治療についての学びを共有してくださいました。
悪性黒色腫の診断と分類
悪性黒色腫(メラノーマ)は、皮膚の色素細胞から発生する悪性腫瘍です。悪性黒色腫は日本では比較的まれな疾患ですが、ここ40年ほどで患者数は約4倍に増加しています。日本人では「末端黒子型(四肢末端部に発生するタイプ)」が最も多く、欧米と比べて診断の遅れが課題とされています。悪性黒色腫の主だった発生要因としては、以下が挙げられます。
- 紫外線曝露(慢性的な暴露よりも、間欠的・大量暴露がリスクとなる。)
- 外傷や慢性的刺激(特に末端黒子型で問題となる)
- 免疫抑制状態(臓器移植や血液悪性腫瘍の治療中など)
- 巨大色素性母斑、色素性乾皮症
悪性黒色腫の診断には、「ABCDE基準」や「7 point checklist」など、悪性を疑う所見を確認します。また、周囲の普通の黒子と比べて大きい/小さい、色が違う、あるいは孤発している黒子には注意が必要です(いわゆる、みにくいアヒルの子サイン)。

従来、悪性黒色腫に対する部分生検は避けられてきましたが、近年では悪性黒色腫の部分生検は予後に影響しないと報告されており、必要に応じて部分生検が許容されるようになっています。病理検査の結果、悪性黒色腫の診断となった場合、TNM分類により進行度を評価します。腫瘍の厚さや潰瘍病変の有無、遠隔転移の有無が予後と深く関連します。特に、脳転移は1年生存率50%、2年生存率27%と、大きな予後不良因子です。
悪性黒色腫の治療
病変を切除可能な悪性黒色腫に対する基本的な治療方針は、手術です。また、遠隔転移がある症例の4~10%には所属リンパ節までのリンパ行性転移が含まれ、これをin-transit転移と呼びます。遠隔転移がある症例においても、単発ないし数個のin-transit転移、あるいは肺や肝臓の転移巣の切除は、生存率を改善する可能性があります。切除病変の厚さや転移の有無などによるステージ分類によって、追加の補助療法が選択されます。
近年は遺伝子変異(BRAFなど)による病型分類も進んでおり、免疫チェックポイント阻害薬(オプジーボ、ヤーボイなど)や分子標的薬(BRAF/MEK阻害薬)の登場によって、生存率が飛躍的に改善しています。これらの薬剤が終末期のわずかな期間でも腫瘍縮小や症状緩和に寄与する可能性も報告されており、今後の進展が期待されます。
また、悪性黒色腫はかつて放射線抵抗性とされてきましたが、近年は高線量の分割照射や免疫チェックポイント阻害薬/分子標的薬との併用によって放射線療法の奏効率が改善しており、局所再発高リスク例や切除困難例では特に放射線療法の追加が検討されます。加えて、皮膚リンパ節転移や骨転移、内臓転移、脳転移などに対する緩和的放射線照射にも、一定の症状緩和効果が期待できます。
まとめ
悪性黒色腫のうち日本人で最も頻度が高い末端黒子型黒色腫は、手掌や足底、爪床に発生し、診断の遅れが課題とされています。今回ご紹介した「ABCDE基準」や「7 point checklist」を参考に、疑わしい症例があれば早期に皮膚科への紹介を検討しましょう。
西尾先生、3か月間の研修お疲れ様でした!
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