こんにちは!
専行医1年目(医師3年目)のkentoです。
今回は、8月13日にオンラインで行われた「PaCTi(パクチー)」という勉強会についてです。
このブログでPaCTiを扱うのは2回目(1回目はseminar-syoukai2)。
PaCTi は2020年3月にスタートした緩和ケアオンライン勉強会です。
特徴は、「ディープでニッチでなかなか聞けないけど味わい深い話(ガチ緩和)」を学べること。
第22回の今回は、「集中治療における意思決定支援と緩和ケア」というテーマで、
東京ベイ浦安・市川医療センターの平岡栄治先生のレクチャーでした。

怒涛の1時間

すごかった・・・。
あっという間でした。
集中治療における意思決定支援。
倫理的にも時間的にも困難さが強く、
ともすれば、「これって難しい問題ですよね…」
と思考停止してしまいそうなこのテーマを、
ガイドラインの変遷や現在の法律家の解釈などを交えつつ、
地道に、論理的に、そしてゆるぎなく患者中心の視点から議論を展開していく平岡先生のお話しに、
パソコンの前で圧倒されました。
レクチャーは平岡先生ご自身の米国での経験に始まり、
- 実際の症例をベースにした「困難な意思決定」の掘り下げ、
- 死の質について、
- 臨床倫理委員会の変化、
- 院内コンセンサスの作成、
- コロナ禍特有の困難、
などなど…内容は多岐にわたりました。
そして短い時間の中に、
- 「高度の苦痛に対しても、RRS(Rapid Response System)を使ってよい」
- 「意思決定の議論において、”病院の文化”が強い影響力をもっていないか? を考える必要がある」
- 「臨床倫理委員会でも振り返りが行われた」
- 「現場が不安を感じずに患者中心の意思決定をするには、病院のコンセンサスが必要」
- 「”医療の開始”にもジレンマを感じないといけない」
- 「意思決定のヒエラルキーの頂点は、患者であるはず」
- 「これでよかったと”全員が”感じるには、コンフリクト・マネジメントが必要」
- 「不確定要素があってもよいから、医療チーム内でコンセンサスをもって話す」
- 「ACPに積極的なプライマリケアの医師は増えてきた。急性期の医師に、それを利用するスキルはあるか(ACPのリレーができるか)?」
- 「患者と話す目的は言質をとることではない。そのときの気持ちを聞いておくことだ」
- 「ビフォアコロナなら、患者と家族の背中を同時にさすることができたが、いまはそれが難しい」
など、学びになる言葉や、はっとさせられ、自分はどうかと考えさせられる言葉があふれていました。
「患者さんにとってのベストはなにか」

中でも印象的だったのが、
この言葉が繰り返し繰り返し出てきたことでした。
「患者さんにとってのベストはなにか」
倫理的に悩ましいとき、コンフリクト(関わる人の間での対立)が生まれたとき、時間がないとき、様々な場面で、「患者さんにとってのベストはなにか」という問いかけをし、答えを出していました。
自分はどうだろう。
いつも「患者さんにとってのベスト」を考えられているだろうか。
日々の診療を振り返り、そうではないかもしれないと思いました。
これから悩んだとき、いやそうでなくても、
この言葉が繰り返し、頭の中で響くような医療者でありたいと思いました。
おわりに

上に書いた以外にも、様々な興味深い内容があり、本当に盛りだくさんな1時間(とちょっと)でした。
またZoomを用いた講義であったため、
講義中にチャット機能を用いた視聴者間での議論も活発に行われていました。
僕は講義についていくのが精いっぱいで、
チャットでのやり取りをよく見られなかったのが残念でしたが…。
普段はそれぞれの地域で(多くは少人数で、場合によってはひとりで)奮闘している視聴者の方々が、
テーマに関連したそれぞれの悩みや考えを共有していて、そうした場としても大きな意味をもつ勉強会なんだなと感じました。
あたらしいPaCTiの情報はこちらからアクセスできます。
よければ是非、チェックしてみてください!
それでは!