後期研修医の鈴木です。
 当院初期研修医で当科へ4週間のローテに来られていた吉積先生が、当科での研修を振り返って最終発表をしてくださいました。今回は、吉積先生自身の営業職としての勤務経験から、営業と医療面談の共通点と相違点について、学びを共有してくださいました。

※症例の詳細については、個人が特定できないよう、適宜修正を加えています。


元営業マンが語る「医療面談」の奥深さ

 吉積先生が営業時代に大切にしていたことは、「製品を売ること」ではなく「課題を解決すること」です。吉積先生は、顧客自身も気づいていない潜在的なニーズを引き出し、課題を認識させるとともに、自社サービスを用いた解決策を提示することこそが営業の本質であるといいます。この姿勢はまさに、患者や家族の「思い」を引き出す医療面談の基礎と重なります。吉積先生は、営業面談の流れを4つのステージにまとめた上で、医療面談と比較しました。

営業のステージ医療面談に対応する要素
アイスブレイク信頼関係の構築
ヒアリングケアのゴールを明確にする
サービス説明医学情報の共有・治療方針の提示
クロージング意思決定支援

・アイスブレイク:信頼のスタートライン

 医療面談は、「医師という肩書き」により一定の信頼を得た状態で始められることが多いです。一方で、営業面談では「良く知らない人」という信頼ゼロの状態から開始するため、警戒心を解いてもらうことで初めてスタートラインに立つことが出来ます。きっかけ作りに活用できる一般的な話題として、「木戸に立てかけし衣食住」の語呂合わせ(気になる方は是非検索してみてください)が知られています。日常会話をきっかけに、そこからシームレスに相手のニーズのヒアリングに移行できることが理想です。

・ヒアリング:ゴールの設定

 ヒアリングの目標は、相手が自社製品の購入にあたって感じている課題を聞き出すことです。もし事前に課題が分かる時は、その課題を感じるであろう具体的な場面も事前に想定しておきます。話を聞いた後に「〇〇で苦労することはないですか?」と質問するとそこそこ当たり、相手からの「分かってくれている」感にもつながります。相手の考えを『先回り』することが鍵です。

ただし、営業面談と医療面談で大きく異なるのは「ゴールの在り方」です。営業面談では「感情をコントロールして購買意欲を高める」ことが目的ですが、医療面談は「感情の表出を促し、現実との折り合いを探る」ことが目的です。この「感情との向き合い方」の違いが、吉積先生が研修を通じて最も印象に残ったポイントでした。


・サービス説明:情報共有と方針提示

 営業面談では、サービス説明の際、自分が一方的に説明する時間は長くても3分までとし、ヒアリングで確認した課題に合わせて重点的に話す個所を変えます。準備した通りに話すのではなく、相手に寄り添った提案を行うことが面談の成功率を高めます。医療面談においても、面談の準備段階から相手に配慮する(SPIKESモデル)、なるべく相手に話してもらう(Ask-Tell-Ask)、こちらと相手の認識をすり合わせながら段階的に話を進める(3 stage Protocol)等、体系的な構造化面接のスキルを学ぶことで、より効果的な意思決定支援を行うことが可能です。

・クロージング:意思決定支援

 営業面談の最後のステップは、相手に購入の意思決定を求めることです。現状維持バイアスのために、「購入する」決断の心理的負担は、「購入しない」決断よりもずっと大きいものとなります。購入を決断するまでのハードルを相手自身も認知していないことも多いため、これまでの話を踏まえて想定されるハードルをこちらが一つ一つ解決していく必要があります。医療面談においても、相手の課題を想像できているか?意思決定のハードルを取り除けているか?を都度確認することが、円滑に面談を進めていく助けになりそうです。


研修を通じて起こった意識の変化

 吉積先生は研修を振り返って、「本音の感情を引き出す技法」を学んだことが一番の感動であったとまとめて下さいました。合理的な選択肢をあらかじめ検討してパターナリスティックな意思決定をするだけではなく、引き出した感情をもとにその人たちが幸せになれる選択肢も検討する姿勢を持てるようになったことが、吉積先生にとって一番の学びでした。

 吉積先生、4週間の研修、お疲れ様でした!

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