後期研修医の鈴木です。
 今回は当院の総合診療科専攻医で当科へ6週間のローテに来られていた前岡先生が、当科での研修を振り返って最終発表をしてくださいました。今回は、遺族ケアに関する学びを共有してくださいました。


患者との死別が家族に与える影響

 愛する人や物など、かけがえのない対象を失うことを「喪失」といい、喪失に対する心理的・身体的・行動的・スピリチュアルな反応を「悲嘆(グリーフ)」といいます。悲嘆は、これから訪れる喪失を予期して、患者の生前から始まる(「予期悲嘆」)こともあります。ライフイベントの中で、人は多くの別れを経験しますが、その中でも配偶者との死別は特に大きな悲嘆を生じることが知られています
 一方で、家族には、患者の日常生活や気持ちを支え、患者の介護を担っていく介護者としての立場も求められます。患者が病気を患うことによって発生する多様なストレスを抱える一個人としての家族の一面は、時として忘れられてしまうことも少なくありません。

 喪失に対する内的な反応である悲嘆は、一般的に、時間の経過に伴う外的な表出(「喪」、例としては葬儀・法要を行う、周囲の人と故人について話すなど)によって徐々に整理されていくと言われています。心理学者のストロープらは、遺族は日々の生活の中で悲しみや苦痛と向き合う過程(喪失志向)と日常生活や新しい関係を築く過程(回復志向)の間を振り子のように行き来し、適応力やレジリエンスを高めると述べています。「ずっと泣いている」「ずっと平気な振りをしている」のように、一方の過程のみを繰り返している遺族は、悲嘆との折り合いを付けられずにいるのかもしれません。


喪失を乗り越えるための遺族ケア

 ウォーデンは、遺族が喪失を乗り越えるうえで取り組むべき4つの課題を提案しました。

 悲嘆のプロセスのゴールは、愛する人のことを忘れることでも、悲しみが起こらないようにすることでもありません。死別から何年経過しても、涙がこぼれることはあり、大切な人は亡くなった後も遺族の心の支えであり続けます。私達医療者が遺族のためにできることは、家族が自身の苦痛に向き合い新たな価値観を見出していくサポートをすることです。

 海外では、遺族ケアを医療制度に組み込んで支援を整備している国も多くあります。一例としては、アメリカではHospis Benefit(余命6ヶ月未満と診断された方が利用できる緩和ケア)の対象患者が死亡後、13か月間にわたって遺族に対するグリーフケアを提供することが医療機関に義務付けられています。
 一方、本邦においては、緩和医療学会や厚生労働省のガイドラインで遺族ケアの重要性が強調されているものの、制度としての遺族ケアの整備は進んでいません。現状としては、亡くなられた後に担当看護師から遺族へ手紙を郵送する、遺族の心のケアを専門に行う外来を設定するなど、各医療機関の自主的な活動が遺族ケアの中心となっています。前岡先生は、「制度が整っていない中でも、医療者一人ひとりが遺族に声をかける勇気を持つことから、遺族ケアの取り組みが広がっていけば」と語られました。

まとめ

 忙しい日常診療の中で、いきなり遺族ケアに大きな時間を割くことはなかなか難しいと思います。病棟で最期の診察に伺った時やお見送りをするときにお声がけをするなど、まずは小さなことから遺族ケアを意識してみると、それぞれにできることが見えてくるかもしれません。
 前岡先生、6週間の研修お疲れ様でした!

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