後期研修医の鈴木です。
東京都立多摩総合医療センターから当科へ3か月間のローテに来られていた北川先生が、これまでの当科での研修を振り返って最終発表をしてくださいました。今回は、面談の質を向上させるための情報収集について、学びを共有してくださいました。
※症例の詳細については、個人が特定できないよう、適宜修正を加えています。
情報収集の質は面談の質に直結する
当科で面談の経験を重ねられる中で、北川先生は「情報収集の質が面談の質に直結する」ことに気づかれたそうです。その具体的なエピソードを一つご紹介します。
【事例】自宅で妻と2人暮らしをしており、もともとはADL自立していた80代男性。肺炎のため入院し、抗菌薬治療を5日間行った。感染症としての治療経過は良好であり、病状説明と今後の方針について相談するために、主治医は家族面談を設定した。日程調整の際、主治医は家族へ「動けるようになって、ご飯も食べられています」とご説明していた。面談当日、面会に来た家族が看護師に最近の患者の様子を質問すると、看護師からは「今は刻み食をご自身で食べられています。歩くときにはふらつくので、付き添っての見守りが必要です」と返事があった。家族は、「そんな話は聞いていなかった!」と立腹し、面談の際に主治医に対して不信感を露わにした。
今回問題になったのは、「主治医が情報を十分に集められていなかった・情報が家族に共有されていなかった」ことです。患者家族-医師間の信頼関係を損なわないためには、どのように情報収集を行えばよいのでしょうか。
情報収集のポイント
北川先生は、情報収集のポイントを4ステップにまとめられました。
- カルテ・本人・家族からの情報を整理する
- まずカルテをしっかり読み込み、内容を頭に入れる
- その上で本人・家族に追加の質問を行い、頭の中を整理する
- 早期から入念に、多方面から情報を収集する
- 情報収集は入院時からすでに始まっている意識を持つ
- 看護師・リハスタッフなど他職種からの情報も活用する
- 「病気」と「生活」の2軸で遡る
- 病歴だけでなく、生活歴も丁寧に確認する
- 入院前の生活を映像化できるレベルで聞き取るのが理想
- 集まった情報から面談の対策を練る
- 入院前と現在の状況を比較し、「差」を見極める
- 退院後の生活上の困難を予測し、事前に対策を提示する
集めた情報を面談に活用する
北川先生は、「集まった情報から面談の前に具体的な今後の見通しを伝え、面談時の話題につなげることが家族の安心感を生むのではないか」とまとめられました。今回の事例で言えば、以下のような対応が考えられます。
- 例:刻み食の提供が必要→面談の前後に栄養士からの調理指導を調整する
- 例:トイレ動作への不安→夜間のポータブルトイレ使用を提案する
面談の限られた時間だけで患者さんの価値観や生活像を把握することはしばしば困難です。日々のベッドサイドでの会話から得られる情報を積み上げ、退院後の生活に関する解像度を医療者側も高めた状態で面談に臨むことで、具体的なケアプランの提案につなげやすくなるかもしれません。
研修を振り返ってのまとめ
北川先生は今回の研修を振り返り、「情報収集は医療者側の面談準備のためだけでなく、患者さん・家族の安心を支える土台にもなる」と語られました。早期から、具体的に、そして多職種で患者さんのために介入を考える姿勢が、緩和ケアの質を高めていくのだと改めて感じさせられる発表でした。
北川先生、3か月間の研修、お疲れ様でした。
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