みなさんこんにちは。CTOです。
本日、日本緩和医療学会主催 第5回研修指導者講習会が開催され、当科の松本弥一郎と大森崇史が受講をしました。
研修指導者講習会とは?
こちらの日本緩和医療学会のウェブサイトでは次のように紹介されています。
日本緩和医療学会専門医認定・育成委員会では、2017年度より研修指導者講習会(以下、講習会)を開催しております。
https://www.jspm.ne.jp/training/211204training.html
講習会は、専攻医の指導方法について具体的に学ぶことができるようなプログラムとなっており、緩和医療認定医がこの講習会を受講することで、「研修指導者」の資格が得られます。「研修指導者」は、認定研修施設の書類提出責任者となり、専攻医を育成することができます。
つまり、未来の緩和医療専門医を育成するための「認定研修施設」の申請に必要な「研修指導者」になるためには以下の2つのパターンがあります。
研修指導者講習会の感想
専攻医制度の現状、指導における目標設定やカリキュラム作成、専門医申請に必要なレポート添削指導のレクチャーがありました。
こうした指導者のためのプログラムがあると、安心ですね。
ちなみに、今回のレクチャー担当をされた講師の一人、山口健也先生も当科で研修をされました。
勉強になりました!明日からの専攻医指導に活かしたいと思います!
緩和医療認定医と専門医の違い
ところで、緩和医療認定医と専門医はどのように違うのでしょうか?解説をします。
受験資格の違い
認定医、専門医の受験資格において、特に異なる点について以下にまとめます。
これまでは認定研修以外の研修を行っても専門医の受験が可能でしたが、2019年4月をもって終了しています。
専門医のほうが、条件が厳しいですね。
医師像の違い
学会ウェブサイトのQ&Aによると、緩和医療専門医と認定医の目指す医師像の違いは次のように記されています。
緩和医療専門医の医師像
専門医は、緩和医療の進歩に基づく治療とケアに精通し、国民の保健と福祉に貢献することが期待されています。その役割は、生命を脅かす疾患に伴う様々な問題に直面している患者と家族の身体的、心理社会的、スピリチュアル(spiritual)な諸問題の早期かつ適切な評価と対応であり、それによって患者と家族の苦しみを予防し、苦しみから解放することを目標とします。
したがって、専門医は、患者と家族を全人的に把握し、理解できる能力と資質が求められます。また、専門医は病気を疾患としてとらえるだけでなく、その人の人生の中で病気がどのような意味をもっているか(meaning of illness)を重要視しなければなりません。
緩和医療専門医の医師像 Ⅱ-1-1 https://www.jspm.ne.jp/nintei/senmon/senmoni_qanda.pdf
緩和医療認定の医師像
専門医と同じレベルに近い臨床能力を備えてはいるけれども、専門医の申請要件を満たすことが困難な場合に認定医としてその能力を学会として担保するものです。
例をあげると、専門医の申請要件として、本学会の認定研修施設で、計 2 年間以上専門的研修を行うことが含まれています。わが国では、研修医として過ごす時期を過ぎた医師であっても、別の専門分野から緩和医療へ専門を変更するキャリアパスが珍しくありません。この場合に、2 年間の後期研修を行うことは現実的に困難な現状があります。また、専門医の要件の一つである、学術活動実績(査読のある学術誌への論文投稿)も専門医受験者が少ない主要な原因となっています。学術誌への論文執筆は困難でも、実地で臨床能力を日々研鑽している場合には、その臨床能力を認定医として担保しようというものです。
緩和医療認定医の医師像 Ⅱ-1-1 https://www.jspm.ne.jp/nintei/ninteii/ninteii_qanda.pdf
なお、専門医受験の要件を満たすことが十分可能な若手医師には、認定医のみならず専門医受験を目指してもらえるよう、学会として支援したいと考えて緩和ケア病棟やがん診療連携拠点病院、在宅緩和ケア充実診療所に
認定医と専門医の数
現在、日本には緩和ケア病棟が431、がん臨床連携拠点病院が447、在宅緩和ケア充実診療所が710あります。それらの施設はいずれも専門的緩和ケアニーズがある場所ですが、少なくとも1人緩和医療専門医が必要になるとすると、最低でも1600名の緩和医療専門医が必要となります。
もちろん、1施設に複数専門医が在籍することもありますので、そう考えると3000名以上は必要だと考えられます。
2022年4月時点で緩和医療専門医は305名、緩和医療認定医は955名となっており、それらを合わせた数でも1600に達していません。
日本一の緩和ケアトレーニングサイトを目指して
飯塚病院 連携医療・緩和ケア科は「病気になっても過ごしたい場所で過ごせる暮らしができる、地域づくり」を目指しています。
それを実現するために、「専門医の育成」は重大なミッションだと認識し、「日本一の緩和ケアトレーニングサイト」を目指し、日々研鑽を積んでいます。
今年は飯塚病院 連携医療・緩和ケア科で研修を受けた医師のうち、7名が緩和医療専門医に合格、2名が緩和医療認定医に合格をしました。
飯塚病院には30年以上続く教育病院としての実績があり、出る杭は伸ばす、Shareの精神といった文化も根付いています。
担当する患者さんの数や所属スタッフが多いことから、論文執筆の支援やキャリアパス相談など様々な面で助け合うことが可能です。
まだまだ日本一とは言えませんが、日本一を目指し、地域における指導者・実践者として緩和ケアの専門家を輩出し続けることができるよう、努力して参ります。
飯塚病院 連携医療・緩和ケア科は緩和医療専門医を目指す専攻医、スタッフを募集しています!
詳しくは以下からお問い合わせください。
オンライン面談について
- 緩和ケアの研修や当院での勤務にご関心があっても、こういった社会状況では見学が難しいという方もいらっしゃると思います。
- そこでオンラインでの情報交換やご質問へのご回答もおこなっております。
- 個別に勤務の様子や研修内容、具体的な雇用契約内容などについて30分−60分程度、お話しさせていただきます。
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