こんにちは!
連携医療・緩和ケア科所属、内科専攻医1年目のkentoです。

今回は、6月4日にオンラインで行われた「PaCTi(パクチー)」という勉強会についてご紹介します。

PaCTiは、2020年3月にスタートした緩和ケアオンライン勉強会です。
特徴は、「ディープでニッチでなかなか聞けないけど味わい深い話(ガチ緩和)」を学べること。
(詳しくはこちらの記事を!)

第21回の今回は、「ポリファーマシーとの上手な付き合い方」というテーマで、
『ポリファーマシーで困ったら一番はじめに読む本』の著者である、
西伊豆健育会病院の吉田英人先生のレクチャーでした。

高齢者診療でトピックとなっているポリファーマシーですが、
緩和ケア領域でも当然、問題となってきます。

悩ましいのが、鎮痛薬など必要な薬が多くなかなかやめることができないこと。
今回は緩和ケア領域を学ぶ上で避けては通れない、
ポリファーマシーへの考え方を学ぶことができました。

ポリファーマシーと「上手に付き合う」とは

そもそも、ポリファーマシーは全て悪いのでしょうか?

今回の勉強会はそんな質問から始まりました。

ポリファーマシーにも、適切なポリファーマシーと不適切なポリファーマシーがある
というのです。なんと。

もし薬剤の数が多くても、

  • 治療目的が達成されている
  • 副作用が少なくなるように最適化されている
  • 患者さんが治療に積極的で、薬を内服できている

これらが満たされていれば、それは適切なポリファーマシーかもしれません。
ポリファーマシーといえど、必ずしも”不適切”なわけではないのです。

薬の量が多いと思ったら、頭ごなしに否定的になるのではなく、
上の条件に当てはまっているかどうかを考えることが第一歩かもしれません。

さらに話題は、
ポリファーマシーの現状、なぜポリファーマシーが起きるのか、どうしたら解決に近づくのかなどに及び、
ポリファーマシーという問題をさまざまな角度から丁寧に、一つ一つ解き明かしていきました。

ポリファーマシーについてきちんと把握し、そして我々ができることを知る。
まさに、「上手に付き合う」ためにはどうすればいいか? ということについて、
明日からできるヒントをいくつももらえる、そんな内容でした。

「薬について、困っていることはありますか?」

中でも僕の印象に残ったことがあります。

それは、
患者さんに対して、「薬について、困っていることはありますか?」と聞く
ということです。

ん? それだけ? と思われるかもしれません。
しかし僕には、ハッとさせられる言葉でした。

日々の診療の中で、
「何を飲んでますか?」「規則正しく飲めてますか?」
などと聞くことはあります。

もちろんこれは大切なはず…。
ただ、それだけでは十分ではないかもしれないのです。

目の前の患者さんは本当は、
「こんなにたくさん飲んでていいんだろうか?」と不安を感じていたり、
「飲むとなんとなく気分が悪くなるから」と内緒で飲むのをやめているかもしれません。

それでも、
「せっかく先生が出してくれているんだから」とか、
「飲んでないといったら気分を悪くして、ちゃんと診てくれなくなるかもしれない」などと感じて
素直に言い出せないかもしれないのです。

さらに言えば、先ほどの
「何を飲んでますか?」「規則正しく飲めてますか?」という問いには、
「自分の薬をちゃんと把握していますか?」「出された薬はちゃんと飲まないとダメですよ」
といった裏の意味が隠れている(と感じさせてしまう)可能性すらあるのかも。

一方で、もしも
「薬について、困っていることはありますか?」
とこちらから聞くことができれば、
患者さんも正直な思いを、いくらか打ち明けやすくなりそうです。

些細なことかもしれませんが、このようなちょっとした一言で、
ポリファーマシーという厄介な問題が、解決に一歩近づくのかもしれないと、
今回気づかされました。

おわりに

今回はポリファーマシーという、
緩和領域に関わらず多くの医療者が直面するテーマでした。

特に高齢者と関わる医療者にとっては、とても身近な問題です。
その意味で、幅広い層の方にとって勉強になるレクチャーだったように思います。

また、そこからさらに緩和領域に特有の話題にまで踏み込んだ内容もあり、
緩和ケアを勉強する上でも大変参考になりました。

スライドの見やすさ、デザインも素晴らしく、
自分もこんな風にプレゼン資料が作れたら…!と、
スライドを見ているだけでワクワクする回でもありました。

あたらしいPaCTiの情報はこちらからアクセスできます。
よければ是非、チェックしてみてください!

それでは!

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