皆様こんにちは。Yuukiです。
今回はローテーターの最終発表です。
東京ベイ・浦安市川医療センターPGY4の高嶋先生による、「本人に悪い知らせを伝えないでと希望された場合のコミュニケーション」をテーマとした発表がありました。
このテーマは、緩和ケアに携わる医師にとって、患者と家族、そして医療者間の関係性を深く考えさせられる重要な課題です。

それではスタートです。
1. 未告知を希望された背景の理解
発表では、病状の悪い患者とそのご家族の事例が紹介されました。
患者ご本人は病識がなく、家族は「本人に悪い知らせを伝えないで」と希望されたケースでした。
- 家族の意図:本人を「悪い病状と知らされるショックから守りたい」という気遣い。
- 患者の性格と価値観:我慢強い性格で、病識がないまま日常生活を過ごたい。
まず家族の気持ちに寄り添いながら、「患者本人の価値観に沿った選択肢は何か」を考えることが大切であると実感されたそうです。

2. 未告知のメリットとデメリットを整理
事例の検討にあたり、未告知を選択した場合のメリットとデメリットを丁寧に整理してくれました。
メリット
- 患者がショックを受けず、治療意欲が維持される可能性がある。
- 告知後の心理的負担(否認や絶望)を回避できる。
- 家族にとっても、心理的な負担を軽減できる場合がある。
デメリット
- 徐々に矛盾が生じ、説明の一貫性が崩れる。
- 嘘を重ねることで、医療者自身が罪悪感を抱きやすい。
- 万が一、患者が真実を知った際に信頼関係が損なわれるリスク。
- 予後を告知されることでやり残したことが明らかになることもある。
3. コミュニケーションの工夫
具体的なコミュニケーション方法として、以下を挙げてくれました
- 家族の気持ちを傾聴・共感する:
「ご本人を一番に思ってのことですよね」と感情に寄り添い、家族が抱える不安や葛藤に共感を示す。
- 前提条件の提示:
「最近では病状を告知するケースが増えています」「ご本人に意思決定能力がある場合、知る権利がある」といった事実を丁寧に説明する。
- 4分割表や書面を活用:
診断や治療方針の利点・欠点を可視化することで、家族が情報を整理しやすいよう工夫する。
- 具体的なフレーズの活用:
「もしよろしければ、私たちの懸念を共有させてください」と丁寧に自らの意見を提案する。このアプローチは、家族が意思決定を一緒に考えやすい環境を作るのに役立つものかと思います。
4. 告知が目的ではない
「告知する・しないは、残された時間をより良く過ごすための手段にすぎない」ことが重要です。
告知そのものが目的化してしまうと、患者や家族の価値観が置き去りになるリスクがあります。
患者と家族、そして医療者がそれぞれ納得できる選択を一緒に考えることの重要性を改めて学ばせていただきました。

まとめ
今回の発表から学んだ未告知対応のポイントは次の通りです:
- 家族の気持ちを受け止める。
- 未告知が患者のケアゴールに合致するか吟味する。
- 未告知の利点・欠点を具体的に共有し、理解を深める。
- 家族の負担を軽減するため、チームで支える。
患者と家族が「その人らしく」過ごすために、医療者としてどのように寄り添うべきかを深く考えさせられる内容でした。
高嶋先生、貴重な経験の発表をありがとうございました。
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